直葬

父親が死んだ。昨日のことだ。

本日火葬した。通常のお通夜、告別式を行わない、直葬というやつだ。

葬儀屋さんには、
「亡くなった人間を葬るのではなく、大きな生ごみを焼却処分して欲しい。」と伝えた。

冷酷な人間と思われても構わない。オレたち４人兄弟、オレと姉はまだいいが、下二人はオヤジのおかげでひどい目に合っている。
彼らのことを考えると、とても人間らしく手厚く葬る気になれない。
おかげで、費用も安上がりだった。総額で１２万弱だ。

しかし今回親父のことで、誰にも惜しまれずに死ぬのも悪く無いと思った。

みな、涼しい普段着で集まり、火葬の際待合室で、ワイワイガヤガヤ笑い合っているし、骨を拾う段になって弟は、
「オレは左利きだから両手で箸が使える。」などとカニのように、箸を両手に持って骨を拾って笑いを誘っていた。



「甘野さんのところは、賑やかでいいですねえ。」と葬儀屋さんが苦笑していたが、おかげで愉快な葬式をさせてもらった。
オレの時もこんな調子がいいかもしれない。これから骨になったオヤジのと一杯やるか。